「環境認識のコツや手順、やり方が全く分からない・・・」
と、パソコンの画面を前にして途方に暮れてしまったことが誰でも一度はあるはず。
FXの環境認識は、単一時間足ではダウ理論やエリオット波動などをベースにある程度、読み解くことができても、複数時間足の分析統合になった途端に別次元の難しさになってしまうのだから困惑しても当然の話。
そして、環境認識の手順ややり方をしっかり確立できていない状態でエントリーした時に限って、痛恨のダメージを負うようなトレードになってしまうのがあるあるな話ですよね。
この記事では、環境認識のコツや手順、やり方がいまいち掴めないあなたのために、環境認識の重要性と必要性から始まり、コツや手順、やり方を掴むための必須ポイントについて徹底解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
それでは、いきましょう。
FXの環境認識のコツや手順、やり方って何?の前に超重要なこと
FXの環境認識のコツの話に入る前に、理解しておくべき非常に大切なその重要性と必要性についてお話します。
環境認識の重要性
環境認識については色々な例え話が用いられますが、これはつまり日常生活レベルでは当たり前のように、あらゆることに対して環境認識していることを意味しています。
農家であれば、手持ちの種を「植えたいから」という自己都合で自宅の砂利に蒔いたとしても、実りある収穫ができるわけありませんよね。
目的を高い確率で達成するために、その種に適した土壌かを調べ、異なればそのように整地し、種を蒔く時期まで待ち、成長を管理し、適した時期に収穫する。
この一連の行動を選択するためのそれぞれの判断は、全て環境認識によって成立しているということがよく分かるでしょう。
FXの環境認識もこれと全く同じで、あなたの手法が機能する場面なのかを厳密に見極め、トレードする優位性がある場面なのかを判断するために行うのです。
環境認識の必要性
次に環境認識の必要性については、相場が複数時間足で構成されることが全てを物語っています。
つまり、総体的なスケーリングは異なっても構造や性質はほぼ同じであるものの、大きい時間足が小さい時間足を内包しているがために、必然的に小さい時間足は大きい時間足の影響を受けています。
これがトレーディングの実務レベルで何を意味しているのかというと、冒頭でも触れたように単一時間足では成立しているように見えるダウ理論や水平線であっても、上位足の環境条件の影響によって下位足のセットアップなんてお構いなしに意図しなかった値動きが形成されていくということ。
こういったリスクを徹底的に排除するためには、マルチタイムフレーム分析によって適切な環境認識をする必要があるんですね。
逆に言えば、このフラクタルな相場の構造やマルチタイムフレーム分析に対する理解がなければ、「この手法の勝率は◯○%だから・・・」という大衆的な確率論に思考が支配され、いつまでも「誰でも出来る高勝率な手法」という悪魔のフレーズを追いかけ続けるハメになります。
FXの環境認識のコツや手順、やり方って何?6つの必須ポイント
では、FXにおける環境認識の重要性と必要性がよく分かったところで、コツや手順、やり方を掴むために必須となる6つのポイントについてお話していきます。
- 監視時間足を固定する
- トレンドかレンジか判断する
- トレードスタイルによって監視時間足を固定する
- 執行時間足以上の時間足で水平線を設定する
- インジケーターの設定を変えない
- 日足の形成軌道をイメージする
必須ポイント① 監視時間足を固定する
よく「多くの時間足を見ると判断が迷うからやめた方がいい」というフレーズを目にしますが、この言葉を表面的な受け売りで真に受けてしまうことは非常に危険。
つまり、多くの時間足を見ることが問題なのではなく、監視する時間足をコロコロと変えていることで、いつまで経っても一貫した分析視点が養われないことが問題の本質だと理解すること。
なので、まずはあなたが監視する時間足を固定することが大切。
「この時間足には好きなパターンができているから」という思考は非常に危険です。
あくまで、「主戦場とする監視時間足に好きなパターンができたか」を判断するようにしましょう。
また、兼業でトレードに取り組む場合はデイトレを習得したいという方が多いと思いますが、デイトレの精度を上げるのであれば隙間時間に常にチャートをチェックするのはやめること。
何より、見れば見るほど全ての値動きがエントリーチャンスに見えてしまい、仕事が終わってゆっくりとチャートに向き合える頃には、あなたの意思決定力はスッカラカンになってしまいます。
ここからが重要な内容ですが、チャートをチェックする時間を「1時間足が確定する前後5分の計10分」というルールを作ってみましょう。
この1時間足の確定という節目は多くの相場参加者が意識しているため、重要な局面となることが多い。
私は専業トレーダーとして生活を送っていますが、四六時中張り付いているのではなく、各市場がオープンする時間帯と同時に、この1時間足確定の節目を非常に重要視してチェックしています。
あなたが兼業で取り組み、仕事中でもチャートが気になって仕方がない場合には、まずはニューヨーク市場がオープンする時間以降の1時間足の確定前後5分に着目してみてください。
必須ポイント② トレンドかレンジを判断する
トレンドかレンジかを判断することで自ずと戦略が決まってくるため、まずは執行時間足での相場状況を判断しましょう。
戦略のコンセプトは、
- 上昇トレンド:高値更新後、安値が切り上がるポイントを見極める
- 下降トレンド:安値更新後、高値が切り下がるポイントを見極める
- レンジ:基準となる高値安値を見極めて、そこまで待つ
まずは、あなたの執行時間足でこの見極めを高精度でできるようにすること。
そして、例えば押し目買いであれば「何を持って安値が切り上がったとするのか?」の答えを明確に持った上でチャートと向き合うことが大切。
また、値動きは売りと買いの注文によって形成されており、需給の原則で考えるならば、「安いところで買い、高いところで売る」という全てが凝縮された結論に行き着くわけですが、悲しいかなリアルチャートと向き合いながらこの事実を生かすことができる人は多くありません。
日常生活では、普段一杯500円の牛丼が380円に特別割引されていれば、飛び上がるほどのお得感を抱きますよね。
FXトレードにおいても、この概念を実践レベルで落とし込む必要があります。
- 通貨ペア USDJPY
- 上昇トレンド継続
- 押し目形成場面
- 昨日の終値が100円
- 共通認識性が高い価格101円
- 監視時間中に価格が98円に到達
このシチュエーションで98円という価格が圧倒的に「割安」だと認識し、買いポジションを持つという意思決定ができるのが本質的なトレーダーです。
まだ経験が浅いトレーダーは、この場面では短期足の大きな下落によって上昇トレンドが崩れたと判断し売りポジションを持ち、担がれるのがあるあるな話。
トレンドかレンジかを判断する中で、基準となる価格はどこにあるのか?基準価格に対し、どこまでいけば割安、割高になるのか?を見極めながらシナリオを構築しましょう。
必須ポイント③ トレードスタイルによって監視時間足を固定する
あなたのトレードスタイルによって、監視する時間足も変わってきますが、次の表を参考に監視対象を検討してみてください。
トレードスタイル | 監視対象 |
---|---|
スイング | 月足・週足・日足・4時間足 |
デイトレ | 日足・4時間足・1時間足・15(5)分足 |
スキャルピング | 日足・1時間足・15(5)分足・1分足 |
また、マルチタイムフレーム分析の精度を上げるための方法として、チャート画面を切り替えるのではなく、監視対象の4つを同時に表示することを強くオススメします。
なぜ、4つの時間足を同時に表示するのか?の例としては、あなたは
- 今朝の通勤経路の信号機の色を全て覚えていますか?
- 電車の中で何社の広告があったのか覚えていますか?
- 同僚のネクタイのデザインを克明に覚えていますか?
これらの問いは、つまり「人間は意識していなければ見ているようで見えていない(認識していない」ということを意味しています。
そして、人間の脳は自分にとって都合がいいように物事を解釈したり記憶する性質があるため、このリスクを減らすためにも複数時間足を同時に表示するんですね。
チャートをカチカチと短時間で変えているようでは、数秒前に「見た」はずの始値、終値、高値、安値、トレンドの発生状況、水平線、トレンドラインとの位置関係、インジケーターの状態を鮮明に覚えていられるでしょうか。
必須ポイント④ 執行時間足以上の時間足で水平線を設定する
基本的に水平線は、ダウ理論上の重要な高値・安値に引くわけですが、どのトレードスタイルであったとしても、執行時間足よりも上位足のチャートで水平線を設定すること。
各時間足にラインを設定しようとすれば、いくらでも引けてしまい混乱を招きます。
また、「水平線 → 反発する → トレードできる」というポジポジ病的な思考からトレードする理由を強引に作り出したいがために下位足でラインを引いてしまう、というのは養分トレーダーによくある話。
養分トレーダーから脱却するためにも、週足・日足・4時間足のラインの優位性は高い、ということを一つの指標としてラインを設定し、そこで起こる値動きをよく観察してみましょう。
必須ポイント⑤ インジケーターの設定を変えない
これは全く変えてはいけないという意味ではなく、一つの設定値を使い込んでいくことを意味しています。
そもそも値動きは、多くの人がその価格を意識しているから発生するわけで、インジケーターもその例に漏れません。
その都度のローソク足に反応するように数値を変え続けることは、トレードの本質からかけ離れており出口のない迷路にハマるリスクがあるため絶対にやめましょう。
また、環境認識の一貫性を確保するための大前提として、あなたが手にする可変要素を可能な限り少なくする必要があるわけですが、そのためにも導入するインジケーターは多くても3つまでとしましょう。
オススメは、1つか2つ。
これは、ジャンケンをする際の人数が多くなればなるほど相手の思考が読みづらくなり、あなたの選択肢に優位性がなくなっていくことと似ています。
必須ポイント⑥ 日足の形成軌道をイメージする
この日足の形成軌道をイメージするというポイントは、6つのポイントの中でも非常に重要なので、しっかりと落とし込んでください。
まず、大前提として、1日24時間で区切られる日足というローソク足の中には、それより下位の時間足が全て内包されていますよね。
ということは、下位足でどれだけ上下しようと最終的には日足1本で完結するわけです。
この一見して当然のような性質ですが、デイトレやスキャルピングというトレードスタイルを採用する上では非常に重要なことなんですね。
トレーダーは、それぞれのフィルターを通してチャートと向き合い、暫定的な最適解を導き出し投機というアクションをとるわけですが、結局のところやっていることは日足1本の中で立ち回っているだけで、シンプルにその日足1本が「今日は陽線になるのか、陰線になるのか」が分かれば究極それだけで十分だということ。
あなたが今持っている全てのフィルターを一旦脇へ置き、この日足の形成軌道だけを追ってみてください。
一定の経験を積んだ時、驚くほど値動き=波のリズムやサイズの見極めができるようになっていることに気づくでしょう。
まとめ
FXの環境認識の難しさは、何より「どのようにも見えてしまう」ということ。
あなたが買いたければ上がるように見えるし、売りたければ下げるように見えてしまうもの。
しかし、その通りにエントリーすればどういう結果を招くのかは身をもって分かっているはずですよね。
その行動こそが9割が退場する大衆のとる行動だと。
まずは、今回お話したことをあなたの執行時間足でできるようにする。
それがある程度できるようになってきたら、上位足でもやってみる。
毎日少しずつでもいいので、昨日の自分よりも成長していく喜びを噛み締めながら環境認識とマルチタイムフレーム分析の技術を磨いていきましょう。